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6月 18, 2013
6月 17, 2013
"海は突堤の大きな堆積の足もとで静かに音をたてていたが、やがて二人が突堤を登って行くと、目の前に、さながらビロードのような厚みのある、獣のようにしなやかに滑らかな姿を現わした。二人は沖のほうへ向いた岩の上に腰を下ろした。水は膨れ上がっては、またゆるやかに下降して行った。この静かな海の息づきが、水面に油のような反射を明滅させていた。彼らの前には夜の闇がはてしなく広がっていた。リウーは、指の下にあばたの岩肌を感じながら、異様な幸福感に満たされていた。タルーのほうを向いてみると、友の静かに重々しい顔つきにも、その同じ幸福感―――何ものも、例の殺人さえも忘れていない、幸福感が感じとられた。"
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カミュ『ペスト』(カミュ全集4)新潮社版1972
宮崎嶺雄訳
208頁
6月 17, 2013
"…たといきわめて間接的であったにしろ、また善意の意図からにせよ、今度は自分が殺害者の側にまわっていたということが、死ぬほど恥ずかしかった。時がたつにつれて、僕は単純にそう気がついたのだが、ほかの連中よりりっぱな人々でさえ、今日では人を殺したり、あるいは殺させておいたりしないではいられないし、それというのが、そいつは彼らの生きている論理のなかに含まれていることだからで、われわれは人を死なせる恐れなしにはこの世で身振り一つもなしえないのだ。まったく、僕は恥ずかしく思い続けていたし、僕ははっきりそれを知った―――われわれはみんなペストの中にいるのだ、と。そこで僕は心の平和を失ってしまった。僕は現在もまだそれを探し求めながら、すべての人々を理解しよう、誰に対しても不倶戴天の敵にはなるまいと努めているのだ。ただ、僕はこういうことだけを知っている―――今後はもうペスト患者にならないように、なすべきことをなさねばならぬのだ。それだけがただ一つ、心の平和を、あるいはそれがえられなければ恥ずかしからぬ死を、期待させてくれるものなのだ。これこそ人々をいたわることができるもの、彼らを救いえないまでも、ともかくできるだけ危害を加えないようにして、時には多少いいことさえしてやれるものなのだ。…"
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カミュ『ペスト』(カミュ全集4)新潮社版1972
宮崎嶺雄訳
204-5頁
6月 17, 2013
6月 17, 2013
カミュ『ペスト』読了 所要6日間
6月 16, 2013
"世間に存在する悪は、ほとんど常に無知に由来するものであり、善き意志も、豊かな知識がなければ、悪意と同じくらい多くの被害を与えることがありうる。人間は邪悪であるよりもむしろ善良であり、そして真実のところ、そのことは問題ではない。しかし、彼らは多少とも無知であり、それがすなわち美徳あるいは悪徳と呼ばれるところのものなのであって、最も救いのない悪徳とは、自らすべてを知っていると信じ、そこで自ら人を殺す権利を認めるような無知の、悪徳にほかならぬのである。殺人者の魂は盲目なのであり、ありうるかぎりの明識なくしては、真の善良さも美しい愛も存在しない。"
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カミュ『ペスト』(カミュ全集4)新潮社版1972
宮崎嶺雄訳
107頁
6月 16, 2013



